天文小ネタ集A、極大を迎えているくじら座の脈動変光星、ミラの観測結果です。
脈動変光星とは恒星が膨らんだりしぼんだりするため光度が変わる変光星のこと。ミラは331.96日の周期で2.0等〜10.1等まで大きく光度を変えるタイプの星です。この11月上旬がちょうど極大となる時期であり、明るくなったミラを観測してみました。
〇光度測定
最大光度は2.0等となっていますが、その都度けっこうバラツキがあるということです。精度は悪いですが、まずは光度測定をしてみます。
ステライメージ8と18-55mmのデジイチ(APS-Cサイズ)を使いますが、画角内にミラより明るい基準星が2つ以上必要です。デネブカイトスを使うとあと一つの基準星が画角的に厳しいため、この際くじら座α星(メンカル 2.53等)またはおひつじ座のα星(ハマル 2.01等)β星(シェラタン 2.65等)を基準星とする構図にしました。
本当は色指数、つまり似たような色の星を使うとか、変光星は避ける必要がありますが今回は細かいことは無しの方向で。

2019/10/31 23:02:01(JST) Canon EOSkissX3 EF-S18-55mm f3.5-5.6IS(18mm f3.5)ISO1600 10sec フィルターなし
左のほうにすばるが写っています。画像がピンボケですが、光度測定する場合はわざとこうします。

ステライメージ8で計測作業中。くじら座αを拡大してみると、やや暗い星がくっついているのが分かりました。開口径測定を行うには支障が出るので、基準星はおひつじ座のα、β星を使うことにします。5枚計測した結果は以下のとおり
@2.894
A2.941
B2.882
C2.908
D2.924
0.06等ほどの差が出ていますが、中心値の2.908等級を今回の観測結果としました。小ネタBでわかりますが、実際の数値と0.3等程度の誤差は平気であるようなので、あくまで参考値です。
●11/11再計測
そのBのように、同じ画像を使いVT等級とGチャンネルで再計測してみたら2.999等でした。前回より0.091等暗く出たわけですが・・・AstroArtsのホームページによると極大予想から一か月ほど前の10/14時点でおよそ2.7等となっています。そこから暗くなることはないと思うので、誤差が広がったとみるべきかな、と思っていたら、今回の極大は10/20頃で以降暗くなっているとの情報もあり。まんざらハズレでもないらしい。
〇スペクトル撮影
3等級ほどの明るさがあれば、カメラレンズの先端に回折格子を取り付ける方法のほうが細かいスペクトルが撮れると思いますが、今回はテストを兼ねてR200SSで撮影しました。ASI290MCのスリーブにMORE BLUE(
http://www.moreblue.co.jp/ )製の1.25インチ光路延長アダプターを装着し、回折格子からセンサーまでの距離を約40mmのところ70mmにまで伸ばしています。

ウェブサイトのフォームでセンサーサイズから計算してみると、0次像から1次スペクトルすべては入らないが、キャリブレーションに使用できる地球大気の吸収線7600Åまでは入るという結果でした。加えて固定撮影では細かい吸収線がつぶれてしまう感じがあったので、望遠鏡の微動を使いトレーリング撮影をしています。

R200SS+2.5Powermate StarAnalyser100とASI290MCとの光路長70mm SharpCap3.2 Gain149 Exposure2.03 EM200temma2コントローラーで微動トレーリング
赤の右側がオレンジ色になっていますが、これは赤外線に近い波長です。よく見ると規則的に淡い暗線が縦に走っているようですが、これが吸収スペクトルなのか、それとも機械的なものなのか・・・次に解析結果

RSpecで解析 地球大気の吸収線でキャリブレーション
青い線は参照用のM5Bのスペクトル型です。緑色が強く出ていますが、細かい波形の形状とかよく合っていると思います。5300Åあたり、また6500Åあたりの細かい暗線も実際に観測されるもののようです。谷の部分は主にM型によくみられるTiO(酸化チタン分子)による吸収スペクトルのようですが、こちらはぴったり合致しませんでした。あと水素の輝線もみられるはずでしたが、その痕跡はありません・・・これは残念。11月の早いうちに、デジカメでもう1回撮ってみようと思います。
とりあえず20cmでここまでのデータが取れることがわかったので、これからはカメラレンズでは捉えられない比較的暗い天体で使えそうです。
posted by Northerncross at 14:00| 岡山 ☀|
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