2019年12月21日

ベテルギウスが減光中

このところオリオン座の1等星ベテルギウスが大きく減光しているようです。ベテルギウスはご存知オリオン座の赤い1等星。三つ星を挟んで青白く輝く、同じく一等星であるリゲルなどとともに冬の夜空を彩る有名な星。半規則的な脈動変光星であり、年老いて「爆発寸前」といわれる赤色巨星で、星自体がすでにボコボコと変形しているといわれています。



12/18の夜、肉眼で見ても確かに暗いな〜、と確認できました。この夜のカメラテストのついでに、雑ですが測光もしてみました。RAW画像のGチャンネルとステラナビゲータ10のVT等級から算出しています。


ベテルギウス測光.jpg

ベテルギウスの天体情報 V等級0.45 VT等級0.679 B-V=1.500(ステラナビゲータ10より)

2019/12/18 21:22〜21:24(JST) EOS6D(HKIR改造) トキナーopera16-24mmF2.8FF(28mm F3.2) ISO3200 5sec 固定撮影
ダーク・フラット処理なし SI8で開口径測光 Makali'i使用



星像が飽和してないか心配していましたがOKでした。標準星は色指数の近いアルデバラン(V等級0.87 VT等級1.160 B-V=1.538)にしました。

5枚測定した結果

1.644
1.636
1.636
1.615
1.650(VT)



1.6等級?ちょっと暗すぎる気がするけど。Makali'iでカウント数から電卓で計算しても同程度でした。



モヤが掛かってたかも知れません。光害の影響、ピントをぼかして撮影する際にトキナーレンズのボケ具合が(ある程度は仕方ないけど)均一でなかったこと、周辺減光・・等々で相変わらず精度の低い観測ではあります。0.2等ぐらいは誤差がありそうですが、2等星レベルまで暗くなっているのはたぶん間違いないでしょう。



先のくじら座ミラもおなじですが、脈動変光星は膨らんだり収縮したりを繰り返しており、星が膨張したときに暗くなるのでベテルギウスも恐らくそうなのでしょう。ただ今回の減光は観測史上最大とのウワサもあり、これはひょっとすると爆発の予兆なのかも?と期待しています。ガンマ線バーストによる地球滅亡の危機!とかオカルト好きが騒ぎ出すかも知れませんね。



天文ファンとしてはベテルギウスがどかーんと(音はしませんが)爆発し、昼間の空でも見えるほど光り輝く姿をぜひこの目で見たいと思っています。

posted by Northerncross at 12:00| 岡山 ☁| Comment(0) | 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月04日

食変光星アルゴルの極小

天文小ネタ集B、ラストはアルゴルの光度測定です。


アルゴルは2.867日の周期で変光するペルセウス座の食変光星。名前はずっと昔から知っていましたが、今まで光度変化の観測などやったことはありませんでした。たまたま晴れたこの日、午前2:50に主極小が起こることがわかったのでこちらも光度測定をしてみました。


ミラのときと同じく基準星として適当なものがほとんどありません。ペルセウス座α(ミルファク 1.79等)は使うとして、もう1つの基準星に悩みます。主極小1時間前にアルゴルがどの程度暗くなっているのかということもありますが、できるだけ明るい恒星のほうが誤差が少なくなるはずなので有利です。結局アンドロメダ座の二重星アルマクを1個の恒星として使用することにしました。光度は2.10等です。


本当は極小の前後2時間の光度変化を測定したかったのですが、さすがに当日は金曜日の早朝、当然その日も仕事があるので睡眠時間確保のため前後1時間の観測にとどめました。1:50分から10分おきに3枚ずつ撮影し、中心値を採用する方法をとりました。


ALGO1KEISOKU.jpg

右がペルセウス座α星、左下がアンドロメダ座のアルマク、左上がアルゴル ステライメージ8で計測中
2019/11/1 1:50:03〜(JST) EOSkissX3 EF-S18-55mm f/3.5-5.6IS(34mm f4.5) 10sec  スーパーポラリス赤道儀でノータッチガイド



計測結果はこちら

ALGO2GRA.jpg

ALGO3CROS.jpg


3:50分まで観測する予定でしたが、途中で赤道儀の電池が切れてしまいました。明るさを肉眼で観測する限りは減光・増光は全く感じられません。写真を連続して確認しても光度変化があるようはみえなかったので、もしかして日時を間違えたかな?と心配したほどです。計測してみると確かに変化してるんですね〜大したもんだ。


それはともかく、今回のデータでは最小光度が3.114等となっていますが、アルゴルは3.39等まで減光するはず。つまり0.3等近くの測定誤差があるということです。光度「変化」のほうはそれなりの結果が出せたと思いますが、これはひどい・・・基準星の選定がマズかったのか、何かしらフィルターが必要なのか、とにかく対策が必要です。



●11/11追記

「デジカメで観測しよう−ひかり天体観測所」( http://hikariao.la.coocan.jp/Digi-Came.html )のホームページによると、デジイチのRGB三色分解したGチャンネルと、ステラナビゲーターの天体情報にも記載のあるVT等級(ティコ星表)を使用すると比較的良好な結果を得ることができるとのことです。VT等級だとペルセウス座ミルファクは1.866等、アルマクは2.330等となります。早速計測してみました。


再計測の結果

argo gra2.jpg

argo cros2.jpg


最小光度が前回3.114等だったのに対し、今回は3.286等。アルゴルの極小の光度3.39等と比較するとまだ0.1等ほど誤差がありますがかなり改善されました。こちらのサイトをよく読んでもう少し研究してみます。


(訂正:グラフのタイトルが「VT光度-B画像・・・」となっていますが、正しくは「VT光度-G画像・・・」です)
posted by Northerncross at 16:00| 岡山 ☀| Comment(0) | 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

くじら座ミラの観測

天文小ネタ集A、極大を迎えているくじら座の脈動変光星、ミラの観測結果です。


脈動変光星とは恒星が膨らんだりしぼんだりするため光度が変わる変光星のこと。ミラは331.96日の周期で2.0等〜10.1等まで大きく光度を変えるタイプの星です。この11月上旬がちょうど極大となる時期であり、明るくなったミラを観測してみました。


〇光度測定

最大光度は2.0等となっていますが、その都度けっこうバラツキがあるということです。精度は悪いですが、まずは光度測定をしてみます。
ステライメージ8と18-55mmのデジイチ(APS-Cサイズ)を使いますが、画角内にミラより明るい基準星が2つ以上必要です。デネブカイトスを使うとあと一つの基準星が画角的に厳しいため、この際くじら座α星(メンカル 2.53等)またはおひつじ座のα星(ハマル 2.01等)β星(シェラタン 2.65等)を基準星とする構図にしました。
本当は色指数、つまり似たような色の星を使うとか、変光星は避ける必要がありますが今回は細かいことは無しの方向で。


MIRA1SEIZU.jpg

2019/10/31 23:02:01(JST) Canon EOSkissX3 EF-S18-55mm f3.5-5.6IS(18mm f3.5)ISO1600 10sec フィルターなし


左のほうにすばるが写っています。画像がピンボケですが、光度測定する場合はわざとこうします。


MIRA2KEISOKU.jpg

ステライメージ8で計測作業中。くじら座αを拡大してみると、やや暗い星がくっついているのが分かりました。開口径測定を行うには支障が出るので、基準星はおひつじ座のα、β星を使うことにします。5枚計測した結果は以下のとおり

@2.894
A2.941
B2.882
C2.908
D2.924

0.06等ほどの差が出ていますが、中心値の2.908等級を今回の観測結果としました。小ネタBでわかりますが、実際の数値と0.3等程度の誤差は平気であるようなので、あくまで参考値です。


●11/11再計測

そのBのように、同じ画像を使いVT等級とGチャンネルで再計測してみたら2.999等でした。前回より0.091等暗く出たわけですが・・・AstroArtsのホームページによると極大予想から一か月ほど前の10/14時点でおよそ2.7等となっています。そこから暗くなることはないと思うので、誤差が広がったとみるべきかな、と思っていたら、今回の極大は10/20頃で以降暗くなっているとの情報もあり。まんざらハズレでもないらしい。





〇スペクトル撮影

3等級ほどの明るさがあれば、カメラレンズの先端に回折格子を取り付ける方法のほうが細かいスペクトルが撮れると思いますが、今回はテストを兼ねてR200SSで撮影しました。ASI290MCのスリーブにMORE BLUE( http://www.moreblue.co.jp/ )製の1.25インチ光路延長アダプターを装着し、回折格子からセンサーまでの距離を約40mmのところ70mmにまで伸ばしています。


MIRA3ASI.jpeg


ウェブサイトのフォームでセンサーサイズから計算してみると、0次像から1次スペクトルすべては入らないが、キャリブレーションに使用できる地球大気の吸収線7600Åまでは入るという結果でした。加えて固定撮影では細かい吸収線がつぶれてしまう感じがあったので、望遠鏡の微動を使いトレーリング撮影をしています。


MIRA4SPC.jpg

R200SS+2.5Powermate StarAnalyser100とASI290MCとの光路長70mm SharpCap3.2 Gain149 Exposure2.03 EM200temma2コントローラーで微動トレーリング


赤の右側がオレンジ色になっていますが、これは赤外線に近い波長です。よく見ると規則的に淡い暗線が縦に走っているようですが、これが吸収スペクトルなのか、それとも機械的なものなのか・・・次に解析結果


MIRA5RS.jpg

RSpecで解析 地球大気の吸収線でキャリブレーション


青い線は参照用のM5Bのスペクトル型です。緑色が強く出ていますが、細かい波形の形状とかよく合っていると思います。5300Åあたり、また6500Åあたりの細かい暗線も実際に観測されるもののようです。谷の部分は主にM型によくみられるTiO(酸化チタン分子)による吸収スペクトルのようですが、こちらはぴったり合致しませんでした。あと水素の輝線もみられるはずでしたが、その痕跡はありません・・・これは残念。11月の早いうちに、デジカメでもう1回撮ってみようと思います。


とりあえず20cmでここまでのデータが取れることがわかったので、これからはカメラレンズでは捉えられない比較的暗い天体で使えそうです。


posted by Northerncross at 14:00| 岡山 ☀| Comment(0) | 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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