2019年05月12日

令和の始まりに広がる宇宙を想像してみる

この度スペクトル観測を始めました!



これまでもアマチュア向けの分光器はいくつかあったものの、いずれも自分のお小遣いでは手が出しづらい高価な代物でした。興味はあるけどどうしようかな・・・とずっと思っていましたが、この間雑誌を見ていて五藤テレスコープさんから回折格子と解析ソフト・解説書のセットが手ごろな価格で販売されているのを見つけ、これよしとばかり早速購入しました。



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回折格子のStarAnalyser100は31.7mmのねじこみタイプで、惑星撮影用のCMOSカメラなどに取り付け可能です。そのほかにφ58mmのカメラフィルターネジに取り付けられるアダプターも別売りされており、デジイチなどでスペクトルを撮影することもできるようです。流星のスペクトルを撮るときなどはこちらを使用するとよさそうです。令和もはじまり10連休中。せっかくの新月期でありながらなかなか晴天に恵まれませんでしたが、唯一5/3の夜だけは良さそうな感じでした。さてテスト撮影の対象を何にするか・・・



この回折格子は低分解能だそうですが恒星のスペクトル型、彗星や星雲の輝線スペクトル、一部の惑星の大気成分の検出、一部天体の赤方偏移の検出などが可能です。初回なのでスピカやアークトゥルスを撮ろうかとも思いましたが、観測例として解説書に載っていたおとめ座のクエーサー3C273の赤方偏移観測が時期として今しかなく、ちょっとハードルは高そうですがチャレンジしてみることにしました。



「クエーサー」とは、とてつもなく遠方にありながら恒星のように輝く、凄まじいエネルギーを放つ天体のことです。



もと.jpg
R200SS 2.5xPowermate ASI290MC Sharpcap3.2 Binning2 Gain350 Exposure35sec

色強調.jpg


ステライメージ8でダーク減算 20枚を加算平均 StarAnalyser100使用 RSpecで解析



元画像と、見やすいように強調した画像です。「3C273」というのが目的のクエーサー。見た目では普通の恒星と変わりません。ただこれ、約20億年(!)も前の光です。すごいですね。元の光(0次)から少し右側に離れた所にスペクトル(1次スペクトル)が写ってます。「参照星」とあるのはいわゆる普通の星ですが、3C273のスペクトルと比べると参照星のほうはスラッとしているのに対し、3C273のほうは所々明るくなっている部分があります。スペクトルでみると違いがよくわかります。この明るくなっている部分は水素の輝線で、その波長は決まっています。水素ではHβ線が4861Å、Hα線が6563Åです。これを解析ソフトで計測してみると



3C273完成.jpg


RSpecで解析 参照星の地球大気の吸収線(7600Å)で1点アライメント チャートにスペクトルの画像を貼り作図



15%から16%長波長側(赤色のほう)にずれてしまっています。これが赤方偏移と呼ばれるもので、対象が高速で遠ざかっているために光が引き延ばされ、ドップラー効果により生じます。3C273の場合、赤方偏移z=0.158だそうです。遠ざかる速度(後退速度)は約44,000km/秒。光の速度が300,000km/秒ですから、私たち人間からすればいかにすごいスピードかお分かりになると思いますが、これは早い速度で飛んで行ってる、ということとはちょっとニュアンスが違います。宇宙空間が膨張し続けているため、遠ざかっているように見えているということです。



スペクトル観測はちょっと専門的すぎるという方も多いと思いますが、自分は「想像力の助けになるもの」ぐらいに捉えています。このクエーサーを望遠鏡で直接覗ける機会があったら、今も広がり続ける宇宙空間というものを想像しながらより一層感慨深く楽しめるんじゃないかと思っています。



M100に出現したU型超新星を狙ってみても面白そうですが相当暗そうですね。なんにせよ、もうちょっと撮影方法を研究しないといけません。パソコンもCMOSもキャプチャソフトも更新してからほとんど使ってないこともあって、はっきり言って今回どうにかなったのはラッキーでした。精度を上げないとだめだし、それに後退速度やら距離の計算がよく分かりません!これも勉強しないと。ふう



とにかく宇宙の奥深さに、最後は途方に暮れた10連休でした。


posted by Northerncross at 22:21| 岡山 ☁| Comment(0) | 観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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